第23回神経理学療法学会学術大会
学術大会長 淺井 仁
(金沢大学医薬保健研究域保健学系リハビリテーション科学領域理学療法科学講座)
第23回学術大会(第60回理学療法学術大会)のテーマは「根拠と反証 -エビデンスのブラッシュアップ-」としました。科学的真理とは、現時点では数々の反証事例の検討に耐え抜いてきていますが、いずれは反証される可能性のある暫定的な真理です。神経理学療法における治療理論、治療技術は反証可能性のあるものであり、いずれも現時点での暫定的な真理であると言えます。しかも、反証可能性が高いほど、反証事例数が多いほど、多くの情報がもたらされて議論がさらに進むものと確信します。
過去の学術大会のテーマを振り返りますと、「次」、「進」、「先」、「創」という文字が使われ、日本神経理学療法学会が次に進む、新たに創るという今後の在り方について多くの議論がなされてきました。今回は「新たなものを創り先(次)に進み続ける」ための「土台部分」を検証し強固にしたいと考え、冒頭のテーマを掲げました。日本神経理学療法学会が、これまでの学術大会のテーマを継承し大きく前進するためには、治療理論、治療技術の反証をし、エビデンスのブラッシュアップをすることが不可欠であると考えます。加えて、本学会に加え、隣接領域、学際領域の学会等との情報交換をし、あるいは本学会の在り方について議論することも、現状を見直し反証することになり、新たなエビデンスの構築や、これまでのエビデンスのブラッシュアップにつながるものと考えます。
多くの会員の皆様に伝統文化と革新が融合する街である金沢にぜひお越しいただき、秋の味覚に舌鼓を打ちながらエビデンスのブラッシュアップのための活発な議論を交わしていただくことを願ってやみません。